ポジティブ心理学の勉強 その2
【無気力にならない人たちの特徴とは?】
前回のおさらいです。犬の実験で無力感が学習されることを発見したセリグマン先生。
この原理が人間にも応用できることが実験で明らかになってきました。
しかし、無力感を学習しない人が一定数いることがわかりました。
前回紹介した実験では三人に一人が無気力状態になりませんでした。
また自分で環境をコントロールできた人の10人に1人は最初から無気力でした。
セリグマン先生の犬を使った実験でも3匹に1匹は無気力なりませんでしたし、
10匹に1匹は最初から無気力でした。
無力感を感じてもそこから回復する人がいるし、自分で解決できるのに無力感を感じてしまう人もいる。
この差はなんだろう、この差の原因を見つければ無力感の解消に活かせるのではないか、これがセリグマン先生の新しいテーマになりました。
この問いに対する答えを探していたセリグマン先生は、同じ事象を体験したとき人によってその事象への説明スタイルに差があることに気がつきました。
例えば、仕事で上司に怒られたとします。
Aさんは、私は仕事ができないからあの人は私のことが嫌いなんだ、と解釈します。
Bさんは、ミスは私のせいではない、こんなことで怒るなんてあの人は今日は虫の居所が悪かったんだな、と解釈します。
同じ出来事でも人によって解釈は違います。悲観的に捉える人と楽観的に捉える人がいます。
この悲観的と楽観的な要素が無気力になる人とならない人を分けています。
上記の例では、無気力になりやすいのはAさんです。
セリグマン先生は、説明スタイルには
①永続性
②普遍性
③個人度
の3つの重要な面があるとしています。
では一つずつ見ていきましょう。
①永続性
悲観的な人は、悪い出来事はずっと続いて、自分の人生に未来永劫悪影響を及ぼすだろうと考えています
楽観的な人は、悪い出来事は一次的なもので、自分の将来に大した影響はないと考えます。
②普遍性
悲観的な人は、一つの悪いことが他の全部に影響を及ぼすと考える
楽観的な人は、一つの悪いことが他には影響しないと考えている
例えば、経理の仕事をクビになった人がいたとすると、
悲観的な人は自分は仕事をクビになってしまった、何をやってもダメなんだと考え、
楽観的な人は自分は経理の仕事には向いてなかったんだ、他の仕事なら大丈夫だろう、と考える。
③個人度
何か起こった時にその原因を外に見つけるか、内に見つけるか?
例えば仕事をミスした時、
悲観的な人は、自分のせいだと思う
楽観的な人は、他人がミスしたせいだと思う
このように出来事に対して、悲観的な説明をするか、楽観的な説明をするかで、
無気力状態からの回復力がわかります。
悲観的な人は、楽観的な人より、うつ状態になりやすく、実力以下のパフォーマンスしかあげておらず、
免疫も弱くなるので健康も良くないだろうと、セリグマン先生は言います。
幸いこの説明スタイルは、訓練して変えることができます。
悲観度・楽観度が無気力からの回復に影響していることがわかったので、
それを変えることで無気力からの回復力を鍛えることができるのです。
説明スタイルを変えることで、うつ状態に陥った人を回復させるのも可能ですし、
うつ状態になる前の人を予防することもできます。
さらに、普通の状態の人を訓練してより無気力への耐性ができ、パフォーマンスを上げることができます。
従来の病気の人を直す研究から、普通の人をよりハッピーにする研究をすることが可能になりました。
私はここれがポジティブ心理学の真髄だと思っています。
自分の悲観度・楽観度を知りたい方は、下記のサイトでテストができますので、やってみてください。
http://heart-quake.com/article.php?p=1762
次回:楽観的な説明スタイルの人の方が悲観的な説明スタイルの人よりパフォーマンスが高くなる件