ポジティブ心理学の勉強 その4 オプティミストになる為の訓練
【どうすれば説明スタイルを変えることができるか?】
説明スタイルを変えれば人のパフォーマンス上げることができるじゃん、と気づいたセリグマン先生。
悲観的な説明スタイルを楽観的な説明スタイルに変更するためのテクニックについても私たちに教えてくれます。
ただし悲観的な説明スタイルをいつでも何でも楽観的にすればいいと言うわけではなく前提があります。
世の中には悲観的であるべき職業やタイミングがあったりします。
例えば、飛行機のパイロットが楽観的すぎて、視界が悪いけど着陸しちゃえとか考えると嫌ですよね。
またリスクがある事に投資するときもそうです。よくわからないベンチャー企業に全財産かけるぜって人は破滅するタイプですよね。
セリグマン先生のガイドラインはその状況で失敗したらどうなるか?を考えて致命的な事につながる場合は、
悲観的になるべきだと言っています。例えば、飛行機の例だと失敗すると事故死するし、
投資の場合は失敗すると財産を失うので悲観的になるべきです。
さて、ガイドラインがわかったところで実際どうするかを見て行きます。
【ABC理論】
心理学のパイオニアであるアルバート・エリスさんが提唱した ABC理論を使います。
ABC理論とは、
A(Activating event) 困った状況
B(Believe)思い込み
C(Consequence)結果
の頭文字を取ったもので、人の思考パターンを説明するものです。
例えばこんな感じです。
A:合コンで出会ったいい感じの女の子にLINE送ったのに未読スルーされている
B:まじか。嫌われてるだろうな。少なくとも好意があればすぐに返信してくれるハズだし
C:辛い。もうダメだ。人格を否定された気がする。自分が彼女作ろうなんて無理だったんだ。
この思考で問題なのは、Aの既読スルーされたと言う事実が直接Cの結果に結びつくわけではなくて、
Bの思い込みがCに繋がっている事です。AがCになると言う確証はないわけです。
例えば、この女の子がインフルエンザで寝込んでいて、スマホ見てる場合じゃないって知ってたらどうでしょうか?
多分ここまで落ち込まないでしょう。穏やかに返信を待てるかもしれません。
自分の悲観的な説明を変えるためには、このようにABC理論で自分の日々の思考を書き出して見ます。
嫌な気持ちになった時の状況を思い出していくつか書き出し見ると自分のB(思い込み)がよくわかります。
悲観的な考えをしているとわかったときに考えを変える為の有力な方法は反論してみる事だとセリグマン先生は言っています。
人は他人から言われた否定的な言葉には反論できます。しかし、同じ言葉を自分で自分に言うと信じてしまいます。
「君はじつにバカだなあ」と他人に言われたらムッとして反論できますが、
「俺は本当にバカだ」と自分自身で言うと信じてしまいます。
なので、あえて自分のB(思い込み)を他人に言われていると考えて、反論してみるのが効果的です。
A:合コンで出会ったいい感じの女の子にLINEを送ったのに未読スルーされている
B:お前なんかが女の子にLINE送ったって返事来るわけないだろ。迷惑なんだよね。
その顔で彼女できると思ってんのか?
反論:普通に女友達からLINEの返信あるし。キモいとか言われなるほど話してないし。
人間の価値って顔だけじゃないし。そういえば他の子からあの子がインフルエンザで寝込んでるって情報もらってるし。
C:体調が悪いのかもしれないなもうちょっと待ってみよう。
あと今回がダメでも自分が否定されたわけじゃないし。どこにチャンスがあるかわからないから積極的に飲み会に顔だそう。
こんな感じで反論して元気づけをすることを提案しています。
反論はDisqutation、元気づけはEnergizationです。
セリグマン先生は頭文字を取ってABCDE理論と名付けています。
日常で悲観的になった時の思考パターンを思い出して一日10個くらいABCDE理論で説明スタイルを変更すると言う練習を1週間程度やって見ることをお勧めしています。
これは認知行動療法として現在もカウンセリングで使われる技法の大元にある考え方になります。
さて、これで悲観的な説明スタイルを楽観的な説明スタイルに変更することが可能になりました。
セリグマン先生は、最後にこう締めくくります。
何でもかんでも楽観主義でうまくいくわけではなくて限界がある。
うつ病が楽観主義だけで治るわけじゃないし、仕事の失敗がなくなるわけでもない。
自分の責任を放棄しているなんて見られることもある。
楽観主義が万能薬ではないことを理解しつつ、楽観主義をうまく生活に使うことで、
選択肢の幅を広げることができる。
やみくもな楽観主義ではなく、効能も限界も理解した上で柔軟な楽観主義をうまく生活に使うことが重要です。