ポジティブ心理学の勉強 オプションBでレジリエンスを学ぶ
ポジティブ心理学を学ぶシリーズです。今回はFacebookのCOOのシェリル・サンドバーグさんのオプションBをテキストにレジリエンスについて学びます。
【第1章 もう一度息をつく】
さてそれでは本の中身を見て行きます。まず最愛の夫との死別のシーンから始まります。
シェリルさんは夫のデーブと子供を預けて夫婦で旅行に行って居ました。
その旅行先で、夫が急死します。死因は不明ですが、ランニングマシンで運動中に転倒して頭をぶつけたのではないかと言われて言われています。
www.afpbb.com
当時のニュースです。
その時夫は47歳、シェリルさんは45歳でした。
いきなり夫を亡くし2人の子供と夫の居ない生活を送らなければ行けなくなりました。
現実を受け入れられず仕事も生活も手につかないシェリルさんですが、周りの人に助けてもらいながら徐々に悲しみを克服して行きます。
【回復に向けて】
その中の一つが先日紹介したポジティブ心理学の創始者のセリグマン先生です。
セリグマン先生は、人が失敗や挫折にどのように対処するか長年研究を重ねて、3つのPが大事なことを見つけました。
自責化(Personalization:自分が悪いのだと思うこと)、普遍化(Pervasiveness:ある出来事が自分の全ての側面に影響があると思うこと)、
永続化(Permanence:ある出来事の余波がいつまでも続くと思うこと)の3つです。
旦那さんを失ったばかりのシェリルさんは自分を責めて、何もかもがダメになって、この悲しみが永遠に続くと考えていました。
旦那さんの死の原因を自分のせいだと思って、ごめんなさいが口癖になっていましたが、このなんでも自分のせいにするくせが回復を遅らせていて、子供にも悪影響を当てていると言われてスイッチが入ります。悲しみから立ち直るために自分の癖を修正して悲しみに立ち向かいます。
まずごめんなさいと言う口癖を直します。主治医でも防げなかった夫の事故を自分に防ぐ術はなかったことなど、今まで見えなかった事実を確認してきます。
また、永続性も努力して修正します。これからずっとこの悲しみがつづく、と言う考えを「決して」とか「ずっと」をNGワードにして、「時々」「最近は」と言い換えます。
そのほか、認知行動療法を試したり、最悪を受け入れたり、逆に恵まれていることに感謝したり、回復に向かってさまざまなことを試して行きます。
その方法や考え方の背景にある理論は実験で証明されていたり、宗教や哲学的な背景があり、その出典も記載されています。ここら辺は科学的でさすがサンドラバーグさんと言う感じがします。
【第2章 部屋の中のゾウを追い出す】
第2章もレジリエンスについて示唆に富んでいます。例えば家族をなくした人とか、癌になった人がいたとして、周りの人は気を使ってその話題を避けがちになります。シェリルさんの場合は夫を亡くしたこと。誰もがそれを知っていてるのに、あえて触れようとしない。それを部屋の中にいるゾウに例えています。存在感があるのに誰もそれに触れようとしないのです。
だけど本当に必要なのは、その話題を避けることじゃなくてその話題についてあえて話して、何もできないけど支えるよってことを示すことだとこの章でシェリルさんは書いています。
私はこの状況を当事者側でも第三者側でも経験したことがあります。例えば子供を流産してしまった友達がいるんだけど、その友達になんて言っていいかわからないから、不自然に子供の話はしなかったりとか。でも本当は、あえて触れないのではなくて、悲しみを共有するのが相手のためになるのかも知れません。
当事者側では、私は学生時代に父親を亡くして、それをあまり人と話したことがありません。本当は、社会人になってからの話を父親としたかったし、自分の妻を父親に紹介したかったし、自分の子供を父親に見せたかったし、そんな話をだれかと共有できれば心の傷が少し和らいだのかもしれません。
父親が死んで、もう何年も経って、死んだ直後はいろんな人が色々慰めてくれたんだと思うけど、
本当に今でも覚えている言葉は、お葬式で言われた遠い親戚のおばちゃんの言葉。
「私も父親を若い頃に亡くしたけど、何十年経っても悲しみが治ることはない。忘れることはない。」
当時はなんでこんなこと言うんだと思ったけど、本当でした。1日だって忘れたことはない。
この言葉は脅しているわけでもないし、慰めているわけでもなくて、同じ傷を持つ人だから伝えられる事実だったんだと今では思います。
きっと私と同じ境遇の人はわかってもらえると思います。
ここでわかるのは、心の傷はだれかと共有すると癒されると言うこと。
だから犯罪被害者の会があったり、子供をなくした親の集まりがあったり、
依存症の集まりがあったり、その家族の集まりがあったり。
私たちは心の傷を隠しがちだけど、本当は誰かと共有することも大事なんだと思います。
また、悩んでいる友人がいれば、あえて触れないのではなくて、支えるよって姿勢を示すのが癒しになることがわかります。
次回 第3章以降を解説