ポジティブ心理学の勉強 オプションBでレジリエンスを学ぶ 第10章
【第10章 もう一度愛し合う】
サンドバーグさんは夫の死後数ヶ月たってようやく夫の遺品の整理を始めます。一緒に手伝ってくれた夫の母親から、これからも生きて行っていつか再婚するのよといわれて、初めて再婚の可能性があることに気づきます。
パートナーを亡くした人が新しい恋愛をすることはタブー視されていますが、いいパートナーとの関係はレジリエンスを高めます。とはいえ、亡くしたパートナーのことを忘れることなんてできないので、ここの折り合いをつける必要があります。
私がこの章を読んで思ったのは高橋留美子先生の名作「めぞん一刻」です。私はこの漫画が好きで人生で何10回も読み返しているのですが、この章を説明するのに最適だと思います。簡単にいうと、五代君という学生が、下宿先の管理人の音無響子さんに恋をするですが、響子さんは実は未亡人で、なかなか進展しない二人の関係と個性的な下宿の住人たちとの生活を楽しむのがこの漫画のストーリーです。
そんな中で一番の名シーンは響子さんとの結婚を決めた五代君が、響子さんの亡くなった元夫の惣一郎さんのお墓の前で話す場面です。
「初めて会った日から響子さんの中に、あなたがいて...そんな響子さんをおれは好きになった。だから...あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます。」
何回読んでもかっこいいですね。多分そういうことだと思うんですよ。死んだ人は残された人の心の一部になってて、だから忘れられない。それを受け入れて生きていくし、それを受け入れて愛すしかないんですね。
めぞん一刻を響子さんがレジリエンスを高める物語として読んでみるとまた面白いかもしれません。
話がそれますが、このシーンはめぞん一刻で屈指の名シーンなんですが、五代君がこずえちゃんにだまされてキスされたところを目撃してしまった響子さんが、五代君と喧嘩をして、最後に「後ろを向いて、目をつぶって」って響子さんが言って、五代君がその通りにして回り込んだ響子さんがキスして、「本当、すぐだまされちゃうのね。」っていうシーンが最高だと思います。
少し脱線しましたが、この本ではこの章が最終章になります。
サンドバーグさんは「彼が生と死をもって教えてくれたことは、私をより良い方向に変えたのである」と結んでいます。
大きな悲劇に襲われた時、私たちはもう二度と幸せな日々は帰ってこないという思いにとらわれますが、そこから回復して前より良い方向に変わることができます。
五代くんが前の旦那さんを含めて響子さんを愛したように、大きな傷や喪失は私たちの一部になります。これを受け入れ前に進むことで私たちはまた幸せな日々を取り戻すことができます。
大きな悲しみに襲われている人に是非読んでもらいたい本です。では。