ポジティブ心理学 エクササイズ 3つのいいこと日記(Three Good Things)
ポジティブ心理学のエクササイズを勉強していて、セリグマン博士の有名な実験の論文を読んでみたので、内容をまとめてみた。
幸福度が上がって抑うつ度が下がるはずなので、病み気味の方はぜひ試してみてください。
サマリー
ポジティブ心理学の創始者でペンシルバニア大学の心理学教授のマーティンセリグマン 博士が考えた幸福度を上げて抑うつ度を下げるエクササイズ。やり方は簡単で寝る前に今日あった良いこととなぜそれが起きたかを3つ書き出すだけ。
セリグマン博士の2005年の実験では、1週間このエクササイズをした人たちと何もしなかった人たちの幸福度と抑うつ度を調査した。結果、エクササイズをした人たちの方が幸福度が高く、抑うつ度が低くなることがわかった。また半年後にも効果が持続していることがわかった。
簡単に持続的な幸福感を得られるために非常に注目されているエクササイズである。
やり方
寝る前に今日起こったいいこととそれがなぜ起きたかを3つ書き出す。
1週間やってみる。もしできれば、前後の幸福度と抑うつ度の変化を計算する。
実験の内容
実験の目的
心理的な介入で幸福感を上げることができるか?
実験の概要
被験者に幸福感を高めると思われるエクササイズを1週間実施させる。
プラセボを含む6個のエクササイズを実施して実験実施後、1ヶ月後、6ヶ月後の幸福度と抑うつ度を計測する。
プラセボ群:子供の頃の記憶
被験者に1週間毎晩子供の頃の記憶を書き出させる
感謝の訪問:
被験者に1週間で感謝をしているけどそれを伝えたことのない人に向けて、感謝の手紙を書いてそれを届けさせる
3つのいいこと:
被験者は毎晩その日にうまく行ったことと、それがうまく行った理由を書くことを求められた。
また、それぞれの良いことについて簡単な説明を書くことを求められた。
一番良かった時期:
被験者は自分が人生で一番良かった時期について書いて、その時に発揮された自分の強みを思い出すことを求められた。
また1日に1回自分のストーリーと強みを語ることを求められた。
強みを新しい方法で使ってみる:
被験者はテストで自分の強みを知って、それを1日1回いつも使っていない方法で使うことを求められた。
自分の強みを識別する:
これは前述のエクササイズの省略版で、自分の強みを使うことは求めらなかった。
被験者はテストを受けて自分の強みを5つを書き留めて、翌週に一回以上使うことを求められた。
考察
セリグマン 博士のアプローチは人の認知を変えるところにある。
同じ体験をしていても、悲観的なことにフォーカスする人と楽観的なことにフォーカスする人がいる。
悲観的な人と楽観的な人を比較すると、楽観的な人の方が幸福度が高くなって抑うつ度が低くなることがわかっている。
一日の締めくくりに良いことにフォーカスするか、悪いことにフォーカスするかで楽観的な考え方が身について幸福度が上がったと推測される。
この実験で注目すべき点はエクササイズの効果が実験後だけではなく、1ヶ月後、6ヶ月後も継続したこと。
世の中には一時的に幸福度を上げるエクササイズはあるが、次第に幸福度が横ばいになり効果がなくなる。
この実験からは、心理的な介入で持続的な幸福を得ることができる可能性が示唆されており、画期的な発見だと考えられる。
3つのいいことを書くというエクササイズは簡単で効果が高いので続けることができる。
実験でもこのエクササイズをアサインされた被験者は実験が終わった1週間後も自分でエクササイズを継続しており、
6ヶ月後の幸福度が高くなったと推測される。
追試・批判
この実験を受けて様々な追試が行われている。日本では、2013年に経済産業研究所が大規模な追試をしている。
セリグマン の実験と同じ結果は得られていないが、何らかのポジティブな影響があることがわかっている。
参考文献
Positive Psychology Progress: Empirical Validation of Interventions.
https://www.researchgate.net/publication/7701091_Positive_Psychology_Progress_Empirical_Validation_of_Interventions
良いことを毎日3つ書くと幸せになれるか?
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/13j073.pdf